IFC-VAX

設計フロー効率化のための高付加価値・多機能トランスレータ。
IFCデータの品質チェック、編集、変換、軽量化をシームレスに実現。

IFC-VAX とは

IFC-VAX*¹(IFC-Value Added Translator)は、IFC*²データの入出力に対応した高い付加価値を有する汎用のトランスレータです。

3Dモデルや属性のビューワとしてはもちろん、その他にもモデルのチェック機能や各種修正・編集機能、メッシュ削減やシュリンクラップ(モデル全体を包む閉じたメッシュを作成)、モデルの内面のみを抽出する機能など、IFCデータを活用する上で便利なさまざまな機能が利用できます。

設計モデルから各種解析モデルへの簡略化作業や、3Dプリント用のモデル作成、協力会社とのデータのやり取りの際のチェックなどに役立ちます。

*1  IFC-VAXは、株式会社アプリクラフト(AppliCraft Co., Ltd.)の登録商標です。

*2  IFC(Industry Foundation Classes)とは
buildingSMART(建築・建設業界のデータ共有化を目的に活動する国際的な標準化団体)によって開発されているオープンかつ中立な建物を構成する全オブジェクトのデータモデルの仕様・規格です。
一般的なCADにおける描画要素は単純な線分の集合ですが、IFC対応のオブジェクトは、モデルの種類を認識できる属性情報を持つため、建築・建設業界の各業種でプロジェクトモデルを共有することができます。例えば、建築家が設計した「ドア」のデータは、他業種の担当者も同じ「ドア」データとして扱うことができます。こうした共有によって、積算、設備設計、施工、施設管理で効率化を計ることが目的です。

開発背景

多くの建築系の3次元デジタルツールは、IFCという中間ファイルの入出力をサポートしていますが、建築モデルは、計画、設計、構造、施工など工程毎に必要とされる3次元モデルが異なり、さらに異なるデジタルツールが使用されることが多くあるため、工程の上流から受け取った3次元モデルは、受け取った工程で必要なデータが欠損していたり、逆に不要なデータが存在することがあります。

また、すべてのデジタルツールが同じIFCの要素(Entity)を使用するとは限らず、ほかにもIFCデータを読み込む際に以下のような原因でデータが欠損する場合があります。

  • 不適切な形状データの存在(規約違反、不正な数学的表現など)
  • デジタルツール間での精度の違い
  • 意図を反映する属性構造の解釈相違(使用クラスの違い、対応関係が不明、カスタマイズした使用方法など)

IFCとして変換出力される前の、デジタルデータの品質は作成者によってまちまちです。主に次のような問題が挙げられます。

  • データの整合性不足(外観重視、不可視領域の作り込み不十分)
  • データの重複・干渉や隙間などの存在
  • 過度なデータ容量
  • モデリング基準検査の未実施

品質に問題のあるモデルデータから出力されたIFCデータは、その不具合を継承するとともに、さらにサポートするIFCクラスの違いによりデータそのものが欠損することが発生します。

IFC-VAXは、上記のような問題を解消し、建築設計のワークフローを効率化することを目的として開発を進めています。

主な機能

IFC4データの入出力、Rhinoモデルとの相互変換

IFC4の入出力に対応しています。
読み込んだデータはRhinoモデル(現在はメッシュのみ対応)やSTLに変換可能です。

IFCデータの3D形状と属性の可視化

IFCデータのビューワとして利用できます。ビューを操作して3次元での形状の確認が可能です。
属性・プロパティも確認でき、一部の属性は編集・コピーが可能です。

隙間や干渉、面の表裏のチェック

オープンエッジ(隙間や開口)、オブジェクト同士の干渉の検出機能を持ちます。
開口や干渉があると、解析やシミュレーションができない、3Dプリントができない、別のソフトウェアに読み込めない、などの問題が発生する場合があるのでそれらを事前にチェックできます。
面の表裏のチェック・修正機能も搭載しています。

メッシュ軽量化

ポリゴン数を削減(メッシュリダクション)する機能を搭載しています。
形状を維持したままポリゴンを削減したり、ある程度の形状の変化を許容(形状をならす)してポリゴンを削減することができます。

シュリンクラップ

シュリンクラップ(モデルを包み込む閉じたメッシュを作成)が利用できます。
隙間を多く含む開いたモデルや、複数のパーツがあるがブール演算ができないモデルなどを素早く閉じたメッシュに変換できます。解析用モデルや3Dプリント用モデルの作成に役立ちます。

内面抽出(特許申請中)

3Dモデル内の閉じた空間を認識し、その空間に接する面だけを抽出する内面抽出機能を実装しています。
完全に閉じた空間でなくても、ある程度の隙間や干渉を許容できる点が特徴です(特許申請中)。
光や熱、流体、音響などの解析を行う際の解析対象エリアのモデル作成の効率化が期待できます。

Rhinoと連携して編集

IFC-VAX内で編集しきれない高度な処理が必要な場合は、Rhinoと連携し、RhinoやGrasshopperの機能を用いてデータを処理することが可能です。編集し終わったデータは構造を保ったままIFC-VAXに戻すことができます。

STLデータへの出力

IFC-VAX内で編集しきれない高度な処理が必要な場合は、Rhinoと連携し、RhinoやGrasshopperの機能を用いてデータを処理することが可能です。編集し終わったデータは構造を保ったままIFC-VAXに戻すことができます。

動作環境

  • 対応OS:Windows10、Windows11(Macには対応していません)
  • ハードウェア:NVIDIA製グラフィックスボード(OpenGL4.3 以降)のみサポート
           ※Intel製、AMD製のグラフィックスボードでも動作しますが、表示に不具合が発生する可能性がございます
  • 対応データ:IFC4
          3DM(現在、Rhino7のみ対応)
          STL(出力のみ)
  • その他:「Rhinoで編集」の機能を利用するには、Rhino7が必要です

ベータ版

IFC-VAXは現在ベータ版として開発中です。
試用をご希望の方はお問合せフォームからご連絡ください。
また、受託開発によるカスタマイズも承っておりますのでご希望の方はご相談ください。